OMOTEOコラム

知っていると男っぷりがあがる! 日本の文化豆知識 -2

Idol

花魁はいまでいうところの「スーパーアイドル」以上の存在だった

 「花魁」を語るとき、現代の男たちが勘違いをしていることに気づくことが多い。高級コールガールといったニュアンスで受け止めているとしたら、それは日本人としてちょっと恥ずかしいことかもしれない。
 遊郭の遊女たちが春を売る仕事をしていたのは事実だ。しかし、そこには明確な階級があり、下位の遊女とは一夜を共にすることができたのに対し、花魁を「揚げる」ためには、金銭的に裕福であることはもちろん、厳しい条件を満たす必要があった。さらに、諸条件をクリアできたとしても「花魁がその客を気に入るかどうか」というジャッジがあったのだ。
 まず、花魁が所属している「店」に取り次ぎをしている「茶屋」で「気前よく遊ぶ」必要があった。茶屋で豪勢にお金を使い、「いいお客だ」と認めてもらわなくては、取り次いでもらえないのだ。
 ようやく、取り次いでもらい座敷をセッティングすることができても、上座に座るのは花魁である。客は下座に座り、近寄ることも会話をすることも許されない。客はたくさんの芸者を呼び、口もきかず、飲み食いもしない花魁を離れたところから眺めながら、豪勢な宴席を行うのだ。ここで、花魁に気に入られなければ、一発退場。二度と、座敷に呼ぶことはできない。どのような基準で花魁がジャッジしていたのかはわからないが、人格的なものを見極めていたのではないだろうか。

ファッションリーダーであり、
スーパーアイドル以上の存在だった花魁

 花魁を描いた浮世絵がたくさん現存するのは、花魁が江戸時代のファッションリーダーであり、スーパーアイドル以上の人気を誇っていたからである。浮世絵はグラビア写真であり、そこに描かれているファッションに庶民の女性たちは憧れ、真似をしたのだ。
 なぜ、そこまで花街に生きている花魁が女性たちにも支持されたのだろうか。それは、そこまでの地位に上り詰めるには、ルックスはもちろん、知識や知性も求められたことが関係しているのではないかと思う。生まれた家で身分が決まる、この時代において良家の生まれでもない女性が読み書きや芸事を身に着け、美しい装いをすることはほぼ、不可能であった。遊郭にいる女たちは、貧しい家の出であり、家の借金のカタとして売られてきた身である。このような時代において、花魁は貧しい家に生まれた女性が「成り上がる」唯一の方法だったのだろう。そうした背景が、春を売る仕事からの立身出世でありながらも、花魁が同性からも絶大な支持を得た理由なのかもしれない。

1回、座敷をあげるのに200万円!?
 
 花魁に認められれば、ゆくゆくは花魁が背負っている借金を肩代わりすることで身請けをすることが可能になる。しかし、当然ながらほんの数回、座敷をあげたからといって身請けできるはずもない。映画『吉原炎上』でおなじみの花魁道中をするとなれば、その衣装代も出してあげなくてはならないし、身請けに至るまでには莫大な金額がかかる。身請けは相当なお金持ちにしかできないことだった。
 身請けをする、ということは「花魁も認めた人格者であり、その費用を賄えるほどのリッチマン」ということで、男にとっては相当なステータスでもあった、といわれている。
 さて、気になるのは「相当なお金持ちがどのくらいなのか」ということだろう。はっきりとした資料があるわけではないので推定とされているが、座敷1回につき現在の貨幣価値で200万円ほどかかっていたと思われる。
 しかし、花魁の稼ぎが店の経営を担っており、花魁の身の回りの世話をする禿(かむろ)と呼ばれる少女をはじめ、マネージャー的な働きをしていた番頭新造、遊女見習いなどのスタッフを養っていたという背景がある。美しい衣装を着て、教養や芸事を身に着けるにもコストがかかっている。そうしたもの、すべてを含めてのことなのだ。
 いまでいうところの「芸能事務所における看板スター」的な存在だと考えると想像しやすいだろう。現代でスーパーアイドルをパーティーのゲストとして招くときのギャラを想像したら、1回200万円というのはさほど高くないのかもしれない。とはいえ、アイドルはにこやかにトークをしてくれるとは思うけれど。

乾燥と紫外線対策をオールインワンに、プレミアム シンプルケアエッセンスUV 初回2,100円 税抜乾燥と紫外線対策をオールインワンに、プレミアム シンプルケアエッセンスUV 初回2,100円 税抜